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平成24年度【問40】の正解は(2)と思う

公開:平成24年10月25日

(1)イントロ

迷物講師も今年の本試験を受けましたが,【問 40】は(2)を選びました。
つまり事例ア・イは「正しいものとはカウント出来ず」,事例ウ・エが「正しいものとカウントできる」と考えました。

いま一部で話題になっているのは事例アですが,これは「正しいものであるか判断できない」ので(灰色),「正しいもの(白○)とカウントすることは出来ず」,そうすると,平成24年度【問 40】の正解は(2)とせざるを得なかったのです。

以下,問題文と事例アの設問を示しながら,私の思考過程を説明させて頂きます。

(2)平成24年度【問40】事例ア

次の記述のうち,宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば,正しいものはいくつあるか。

ア 不当な履行遅延の禁止(法第44条)は,宅地若しくは建物の登記若しくは引渡し又は取引に係る対価の支払を対象とするのみである。

(3)事例アを「正しいものとカウント出来る」と仮定した場合の理由

理由1.

問題文の「規定」は,法44条の「条文の文字に忠実に」という意味に考えるべきである。
そうすると,法44条は「宅地建物取引業者は,その業務に関してなすべき宅地若しくは建物の登記若しくは引渡し又は取引に係る対価の支払を不当に遅延する行為をしてはならない。」と書いてあり,宅地若しくは建物の登記若しくは引渡し又は取引に係る対価の支払を対象とするのみと読めるから,事例アは「正しいものとカウント出来る」。

理由2.

宅建業法は44条違反に罰則を科しているが(81条1号),罰則には刑法の罪刑法定主義が適用される(条文の文字に忠実に解釈すべきであり,条文を拡張解釈してはならない事を罪刑法定主義と言います)。
そうすると,法44条も条文の文字に照らして忠実に,宅地若しくは建物の登記若しくは引渡し又は取引に係る対価の支払を対象とするのみと読むべきだから,事例アは「正しいものとカウント出来る」。

(4)事例アを「正しいものとカウント出来ない」と仮定した場合の理由

理由1.

法44条は,民法の履行遅滞の制度(債務不履行の一種)を,宅建業法でさらに注意的に定めたものである。民法の履行遅滞の定めでは,不当な履行遅延の禁止について宅地若しくは建物の登記若しくは引渡し又は取引に係る対価の支払には限定していない(例:民法412条)。
そうすると,法44条を条文の文字に照らして忠実に解釈する必要はなく,事例アは「正しいものとカウント出来ない」。

理由2.

法44条の実際の運用も,条文の文字に照らして忠実に解釈されているわけではない。
例えば,平成24年3月に東京都は,融資未承認の場合の契約解除の条項に基づき,契約解除となったにもかかわらず,手付金の返還に応じなかった業者に対して,法第44条に違反することを理由に,法第65条第2項第2号に基づいて業務停止処分にしている(この東京都のホームページの下の方を参照)。
これは,手付金の返還についても法44条の禁止事項に含める運用だから,事例アは「正しいものとカウント出来ない」。

(5)迷物講師の考え

私は,上記(3)の2つの理由も,あるいは上記(4)の2つの理由も,それぞれがもっともだと考えます。

だから,平成24年度【問40】事例アは,正しいものと「カウントできる」とも言えるし,正しいものと「カウントできない」とも言えちゃうのです。
つまり,「正しいものであるか判断できない」(灰色)なのです。

問題文の指示は,正しい「白いおはじき(白色○)の数を数えろ!」 です。
迷物講師としては,グレーゾーンの灰色のおはじき(灰色)を白にカウントすることは,国語的にもできないんですよね。

(6)最後に

長年の講師生活から,うがった見方をひとつ御披露して,このページを閉じます。

それは,試験実施機関や試験委員は,今年の【問40】を合格ラインないし合格率の調整問題として仕込んだんじゃないかという推測です。

つまり,【問40】について(2)を選んだ人数と(3)を選んだ人数とを比較して,お上があらかじめ予定した合格ラインないし合格率を調整するために,本問を使うのではないかという見方です。

この推測が当たっているとすれば,12月5日の合格発表時の公式解答は,上記調整次第で(2)にもなるし(3)にもなるという事です。

宅建試験の問題は毎年のようにグレーゾーンの問題が1~2題出ていて,20年以上もそれに付き合わされてきた講師の世迷言とお笑い下さい。証拠を示せない話です。

じゃ,本試験の余韻にひたるのはそろそろオシマイにして,一日も早く普段の生活に戻られますように…。

平成24年12月5日(水),試験実施機関は正解を(3)と発表しました。



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