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平成25年度【問17】の正解は(3)と思う

公開:平成25年10月27日
更新:平成25年12月 4日…試験実施機関は正解を(4)と発表
追記:平成25年10月31日…このページ後半 「法解釈のセオリー」部分
校正:平成25年11月 2日
…表現が稚拙だった部分の手直し

(1)イントロ

迷物講師も今年の本試験を受けましたが、試験会場では【問 17】の正解を(4)としました。つまり、「誤っているもの」とカウントしたのは事例ア・イ・ウ・エの四つでした。

でも本試験から3日経過後の検討では、事例イは「正しい肢」だと考え直しています。
そうすると、【問 17】は「誤っているもの」が事例ア・ウ・エの三つになるので、正解は(3)ということになります。

本試験直後から、同業他社がそろって【問 17】の正解を(4)にしているのは知っていました。
そこで、私がファンタ特別室で発表した今年の合格ライン予想は、無用の混乱を避けるために、【問 17】の正解は(4)であることを前提にした上で※※点としています。

以下、問題文と事例イの設問を示しながら、私の思考過程を説明させて頂きます。

(2)平成25年度【問17】事例イ

建築基準法に関する次の記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

イ 3階建ての共同住宅の各階のバルコニーには、安全上必要な高さが1.1m以上の手すり壁、さく又は金網を設けなければならない。

(3)事例イを「正しい肢」だと考え直した迷物講師の理由

この問題は建築基準法施行令126条1項の法解釈の問題です。

同施行令126条1項は、
屋上広場又は2階以上の階にあるバルコニーその他これに類するものの周囲には、安全上必要な高さが1.1メートル以上の手すり壁、さく又は金網を設けなければならない。」と書いてあります。

この条文の文字を解釈して、【問17】事例イの問題文に当てはめる作業が法解釈です。

同条同項が、「高さが1.1メートル以上の手すり壁、さく又は金網を設けろ!」と命じているのは、次の①~③の3つのどれかであることは、条文の文字から明白です。

それは、
 ① 屋上広場の周囲
 ② 2階以上の階にあるバルコニーの周囲
 ③ その他これに類するものの周囲

のどれかです。

以上を前提に、
3階建ての共同住宅の各階のバルコニーには、安全上必要な高さが1.1m以上の手すり壁、さく又は金網を設けなければならない」という事例イの、正誤を法解釈してみます。

まず事例イ「各階」のうちの2階以上の部分は、上記「2階以上の階にあるバルコニーの周囲」に該当します。

次に事例イ「各階」のうちの1階部分は、上記「2階以上の階にあるバルコニーの周囲」には該当しません。
1階部分は2階以上には含まれないからです。

しかし事例イ「各階」のうちの1階部分は、上記「その他これに類するものの周囲」には該当すると考えられます。
そもそも建築基準法施行令126条1項の立法趣旨は、転落・離脱の防止です。
そうすると1階部分は、上記によって問題文の「各階」に含めるべきであり、このように解釈するのが転落・離脱の防止という同条同項の趣旨にも合致します。
1階にあるバルコニーでも、前面に位置する河川や道路に幼児等が転落・離脱する危険性は十分に考えられるわけですから…。

したがって本事例の1~3階の「各階」のバルコニーには、「安全上必要な高さが1.1m以上の手すり壁、さく又は金網を設けなければならない」と言えるので、正しい肢だと解釈できます。

(4)事例イを「誤った肢」だと考えている同業他社の理由

事例イ「各階」のうちの1階部分は、上記「2階以上の階にあるバルコニーの周囲」には、確かに該当しません。
そこで同業他社は、上記だけを考えて、事例イを「誤った肢」だと結論づけていると思われます。

(5)いま思うこと

出題者は、【問17】を点数調整(合格ライン調整)問題として仕掛けたのではないか、と推測しています。

私は、同業他社の理由はシンプルなので、頭から否定することは出来ません。
私の理由も、全否定することはできないでしょう。

そこでこのような肢を仕掛けておき、(3)を選んだ人数と(4)を選んだ人数とを比較して、お上があらかじめ予定した合格ラインないし合格率を調整するために、本問を使うのではないかと…。

この推測が当たっているとすれば、12月4日の合格発表時の公式解答は、上記調整次第で(3)にもなるし(4)にもなるという事です。

なお2ちゃんねるを見ていると、「お上が監修している本ではバルコニーの定義が1階を含んでいない…とかなんたら…」の話をしている人がいますが、それは的外れです。少なくとも法解釈としては…。

建築基準法施行令126条1項が「その他これに類するものの周囲」にも手すり等の設置義務を課している以上、バルコニーと言おうがテラスと言おうがベランダと言おうが、関係ないのです。

=== 以下10/31追記 ===

法解釈のセオリー

「バルコニー」という言葉は、わが国の法令のどこを探しても定義がないです。
こういうのを、法解釈技術上、「
定義規定のない定性的概念」と言います。

そしてバルコニーのような 「定義規定のない定性的概念」は、「
基本的に……として取り扱う」のが、法解釈のセオリーです。

つまり、
 ・ お上が監修している本ではバルコニーの定義が1階を含んでいない
となれば(定性的概念があれば)、建築基準法施行令126条1項の 「バルコニー」という言葉も、「
基本的に2階以上にあるものとして取り扱う」のが、法解釈のセオリーなのです。

この取扱いは、「基本的に…」ですから、当然に「例外の存在」を認めます。
バルコニーは、「基本的に」2階以上にあるものとして取り扱うが、1階のバルコニーの存在を「排除するものではない」となるのです。

したがって、いろいろな建設会社が1階部分をバルコニー・テラス・ベランダと勝手に名付けても、それが建築基準法関連の安全基準等に合致していれば、建築確認だって受けられます。また、それら1階部分のバルコニー・テラス・ベランダを含んだ建物を広告しても、一般消費者の利益等に反しない限り景品表示法違反や宅建業法違反に問われることもないです。

【問17】の作成者は、おそらく課長補佐クラス時代までの間に、いわゆるタコ部屋で建築基準法関連の法案作成経験があるキャリア官僚です。そういう経験のあるかた(
元を含む)にコンタクトを取れるコネをお持ちの皆さまが、一人でもいらっしゃることを期待して申し上げます。

タコ部屋経験のあるキャリア官僚等に対しては、「
バルコニーは定義規定のない定性的概念ですよね!」が一番の殺し文句になります。

この殺し文句が効いたとき、お上は、【問17】の点数調整(合格ライン調整)問題化を断念するかもしれません。

以上、淡い期待を承知の上で、追記してみました。

===ここまで10/31追記===

本試験終了後1週間経ちました。
本試験の余韻にひたるのはそろそろオシマイにして、一日も早く普段の生活に戻られますように…。


平成25年12月4日(水)、試験実施機関は正解を(4)と発表しました。



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